WASABIな暮らし便り

高梁市の枯山水庭園頼久寺

きれいな日本庭園というと京都を思いがちですが、岡山の高梁にも小堀遠州が作庭した頼久寺庭園があるのをご存じですか?

小堀遠州は江戸時代初期の作庭の大家で、京都の南禅寺方丈や大徳寺弧蓬庵、二条城の二の丸庭園などを手がけています。父親が幕府の直轄地だった高梁の代官として派遣され、一緒に高梁にやって来ました。そのときに宿舎としたのが頼久寺で、父親が急死したあと、しばらく高梁の代官を務めました。そのころ作ったのが頼久寺庭園で、遠州の庭園の中でも最も古いものとなります。

お庭は枯山水で、地方には珍しいほど上品で品があり、京都のお庭にいるような感じがします。当時は、まだ鎖国の前で、西欧の南蛮文化と日本文化が交流し華麗な桃山文化が花開いた時代です。きれいに刈り込まれた植え込みは、遠州がヨーロッパの庭園に範を得て創ったものだとのこと。そういえば、室町時代初期の金閣寺庭園など、本来の日本庭園は自然な枝ぶりの木が多いですが、桃山時代の大名庭園は幾何学的な刈り込みが多いですね。文化がお互いに影響を与えるのは、今に始まったことではないんですね。

京都のお庭もそうですが、表の整えられた庭に対して、裏側には生活空間用の自然な庭があります。池の上の石橋の上に、かわいいお地蔵様がいらっしゃいました。

高梁には、雲海に浮かぶこともある重要文化財の備中松山城もあります。現存12天守のひとつなので、合わせて訪れてみてください。